臨床発達心理士|JOCDP(一般社団法人臨床発達心理士認定運営機構)

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貧困の基礎的理解と臨床発達心理学的理解

主催・共催

日本臨床発達心理士会 群馬支部

日程とプログラム

2018年5月26日(土)
13:00〜    受付開始
13:55~16:55 講義〔講師:宮内洋〕

ポイント数

1ポイント

会場情報

群馬県社会福祉総合センター/202会議室
〒371-0843 群馬県前橋市新前橋町13-12
http://www.gswc.or.jp/ggswc/access.html

研修要旨

 「日本は6人に1人が貧困」というセンセーショナルなフレーズが日本国中を駆け巡りましたが、それと連動して、子どもの貧困もまた社会問題になっています。厚労省による国民生活基礎調査の結果では、2013年に成立した「子どもの貧困対策の推移に関する法律」の影響からなのでしょうか、子どもの貧困率は2012年の16.3%という結果から、2015年には13.9%と減少しました。とは言え、当然のことながら、子どもの貧困問題が解決したわけでは決してありません。
 2019年度から、高等教育機関での教職課程においては、特別な支援を必要とする幼児・児童・生徒の理解とその支援についての新しい必修科目が義務づけられましたが、この科目においては「障害はないが特別の教育的ニーズのある幼児、児童及び生徒の把握や支援」に関する内容を必ず含めなければなりません。その中の一つが「貧困の問題」です。
 このような現状の中、臨床発達心理士は、貧困の問題に対して積極的なアプローチをしてきたでしょうか。  そこで、群馬支部においては、2018年度の春期に、貧困の問題をテーマとした研修会を開催します。  講師は、群馬県立女子大学教員の宮内洋が務めさせていただきます。私、宮内は、勤務校において現在担当している「学校カウンセリング」等の心理学関係科目の他に、上記の新しい必修科目も担当予定です。

 研修会の内容は、まずは貧困の基礎的理解を目指します。日本社会は、他国と比べ、貧困に対して非常に厳しいまなざしを向けています。例えば、ある調査では、ホームレスの人たちを貧困状態と見なさない人が全体の1/3もいました。貧困の基礎的な理解がほとんど浸透していないのかもしれません。種々の例を紐解きながら、前半部では、貧困について説明していきます。
 次に、後半部では、実際の事例を用いながら、臨床発達心理学的な理解を目指します。非常にセンシティブな問題を内包しておりますので、現在そしてこれまでに、私がフィールドワークや臨床場面で得られた知見を用いるのではなく、永山則夫の生活史を用いながら説明していきます。乳幼児期、そして児童期の貧困が、多様な問題と絡みながら、その後の人生に多大な影響を与えることもまた論じることができればと思います。虐待についてもまた触れていくことになるでしょう。
 今回の研修会は、講師の二つの論文に基づいてなされます。
 一つ目は、日本発達心理学会の学会誌である『発達心理学研究』に掲載された「貧困と排除の発達心理学序説」(2012年)、もう一つは、批判社会学の学術雑誌である『理論と動態』に掲載された「貧困研究とトラウマ−もう一つの『まなざしの地獄』−」(2015年)です。
 なお、関係する部分については、『公認心理師現任者講習会テキスト2018年度版』を参照していきたいと思います。

参加費

500円

問い合わせ先

miyauchi@mail.gpwu.ac.jp

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